2024年 11月 22日
本日11月22日(金)からDolby Cinema公開となりました、ゲキ×シネ『吉原御免状』。 ゲキ×シネプロデューサー・金沢の悲願でもありました本作のゲキ×シネ上映が20周年を機に実現したことを受け、”金沢が語る本作の製作記&隆慶一郎氏の書籍紹介”を連載中です。 本日は【第五回】。 ゲキ×シネ『吉原御免状』プロダクションノート的な映像に関する製作記をお届けいたします。 新『吉原御免状』Dolby Cinema編 です!どうぞ! 『吉原御免状』ゲキ×シネプロデューサーが語る製作記 【第5回】新『吉原御免状』Dolby Cinema編 こんにちは、ゲキ×シネプロデューサーの金沢です。 皆さんもプレミアム・ラージフォーマット(Dolby CinemaとかIMAX)を初めて観た後は、ぬぬ!次から映画はこれで見よう!と思いませんでした?私もそうでした。入ってくる画音の明瞭度が全然違うので没入感がすんごいのです。そんなDolby Cinemaとゲキ×シネの相性はとても良いのではと思っています。 先日10月31日に実施されたDolby Cinema Japan Awards2024で初Dolby Cinema舞台作品部門でゲキ×シネ『偽義経冥界歌』が受賞しました。本作はかなりの公演がコロナ禍で中止となった舞台だったので、劇場に来られなかったお客さんに「おおっ!」と舞台の迫力をより感じる体験してもらえたら、と思いDolby Cinemaを制作しました。ゲキ×シネとして初めての挑戦が、こういう形で評価されたことはとても光栄でした。Dolby Cinemaは、映像[Dolby Vision]、音声[Dolby Atmos]という2つのテクノロジーから成り立ちます。 通常のシアターと何が違うのかというと、まずハイパワーな4Kレーザー・プロジェクター2台での上映が挙げられます。 また、通常シアター向けのサウンドは、たとえばですが、正面左右のスピーカーに音楽、センターに台詞、とそれぞれの個別のスピーカに出力する音を指示します。 余分な明かりが上映の邪魔をしないように、シアター内が波長の短いブルーライト、上映中フットライトなどがスクリーンに映り込まないように光の反射を抑える素材を座席や壁面に使用しているとのこと。なぜこれらが必要かは後述します。 ■映像Dolby Vision さて、映像[Dolby Vision]は、色や明るさを高いレベルで表現できる技術です。HDR(ハイ・ダイナミック・レンジ)テクノロジーにより、非常に高いコントラスト比の作品をつくることができます。通常シアターのコントラスト比は [2,000:1] 、Dolby Visionは [1,000,000:1] 、もう桁違いの数値です。舞台照明と舞台の関係上、この高いコントラスト比は、舞台の映像を制作する上での助けとなります。またDolby Cinemaの冒頭で流れるデモンストレーションでもわかりますが、同じ黒でも階調をつくることができます。舞台の映像は、人物の背景が黒になるカットが極めて多いため、まさに舞台映像のためのテクノロジーと言っても過言ではありません。今までよりもずっと表現の幅が広がります。 これらを実現するためにハイパワーな2台のプロジェクターと、余分な明かりがスクリーンに映り込まないシアターが必要になるわけです。上映が始まってから入場するとシアターの暗さに戸惑うので、くれぐれもお気をつけください。 ゲキ×シネ『吉原御免状』は、カラーリストの則兼智志さんと江戸監督とで、まず通常版カラーのディスカッションしたうえで、Dolby Cinemaに反映させます。通常上映から、4Kに解像度を引き上げ、コントラスト比の高さを生かしてビーム照明を強調することでカットのインパクトをつけています。屋根の上のシーンも美しい夜空が表現できていると思います。 今回のファイナルミックスはヒロが率いる若手ミキサーを交えたサウンドチームが、精力的に取り組んでくれました。そのおかげで台詞と効果は明瞭で聞きやすく、20年前とは思えないできあがりです。 下記ページで『薔薇とサムライ2』の明るさがどのくらい違うのか確認することができます。 ■サウンドDolby Atmos Dolby Atmosの何となくアウトラインは前回説明したので詳細は割愛しますが、さてゲキ×シネだとどうなる?まず音楽がよりクリアで美しく聞こえます。特に、『吉原御免状』では冒頭のタイトルシーケンス「花魁道中」で流れるメインテーマに注目です。流れる音楽の広がりを感じてください。吉原の街に入り込んだような錯覚を覚えるのではないでしょうか? トラック数が多い楽曲だと、通常シアターでは聞こえにくい楽器が出てきたりしますが、Dolby Atmosではより広がりのある包まれるようなサウンドとなります。またDolby Atmosでしか体験できない演出効果も何カ所かあるのでぜひお楽しみください。 制作する上での個人的見解ですが、昨今映像に寄り添うサウンド制作が軽視されがちですが、映像にとっての音は、絵画と額縁のような関係で、映像をぶち壊すのも、その世界に寄り添いよりよく見せるのもサウンド次第だと考えます。 さて今回は5回に渡って少し技術的な側面からエッセイを掲載させていただきました。 難解と感じた方にも、少しでも制作過程が伝われば幸いです。 ~隆慶一郎さんの書籍紹介~ 📖『花の火の帝』(1989年) アラウンド『吉原御免状』の最終章。 松永誠一郎の父、後水尾天皇と帝を守る隠密八瀬童子。修行を極めて戻ってきた八瀬童子の若者岩介が、あるとき帝の目にとまる。 繰り広げられる幕府と朝廷の攻防、秀忠と帝のせめぎ合い、岩介は帝を守るため屈強な肉体の武と、優れた情報戦を展開する。帝から受ける不殺の命令を抱えながら戦う様は、岩介を志の高い隠密へと昇華させる。 この話の中でも隆さんは家康の死に関して一般的な見方と疑問点として面白い見解が展開するのだが、確かにあり得る話では?…とまたしても隆さんの知識と見解に巻かれてしまう。 2024/11/28発売予定! 2024/11/28発売予定! 2024年11月22日(金)からドルビーシネマ上映! ゲキ×シネ『吉原御免状』
by geki-cine
| 2024-11-22 11:59
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