2024年 11月 14日
11月22日(金)からDolby Cinema上映を控えている、ゲキ×シネ『吉原御免状』。 ゲキ×シネプロデューサー・金沢の悲願でもありました本作のゲキ×シネ上映が20周年を機に実現したことを受け、”金沢が語る本作の製作記&隆慶一郎氏の書籍紹介”を連載中です。 本日は【第三回】。 ゲキ×シネ『吉原御免状』プロダクションノート的な映像に関する製作記をお届けいたします。 新『吉原御免状』映像編 です!どうぞ! 『吉原御免状』ゲキ×シネプロデューサーが語る製作記 【第3回】新『吉原御免状』映像編 こんにちは、ゲキ×シネプロデューサーの金沢です。 ことあるごとに『吉原御免状』をどうしたいか、どう進めるかを考えてきたので、やっとゲキ×シネへの具現化に向けて進めることができます。わーい! まずは当時上映できなかった苦汁をともに嘗めた、監督の江戸洋史さんに連絡。改めてゲキ×シネ化を引き受けていただけることになり方針を検討します。昔から活力にあふれる方で、まだ映像製作をはじめたばかりの私は当時多くの場面で助けていただきました。今現在も変わらないエネルギーにびっくりです。 今回の基本方針はポストプロダクション、つまり、撮影以降の編集、カラー、サウンドなどのすべてを一新、「新たに製作したい。」です。 ■『吉原御免状』映像その1<アスペクト比> 最初のミーティングで江戸さんからアスペクト比を変更したいという提案がありました。 アスペクト比とは画面の縦横比(長辺と短辺の比率)のことです。皆さんが最近見ているテレビは[16 : 9 (横:縦)]です。江戸さんはシネマスコープ[2.39 : 1](注※フィルムとデジタルでアスペクト比が違います)でいけると思うのでトライしよう。と。 近年のゲキ×シネは作品によりアスペクト比が異なります。『天號星』はビスタ[1.85 : 1]、『薔薇とサムライ2』は[2 : 1]、『神州無頼街』、『狐晴明九尾狩』、『偽義経冥界歌』はシネマスコープとさまざまです。このアスペクト比は通常だと撮影前に決定します。『吉原御免状』は撮影当時[16:9]で撮影していました。 結果このアスペクト比の変更が今回の新『吉原御免状』の肝になっていると感じます。とても映画ライクとなり、この作品のスタイルと青山劇場での舞台のみせかたに合っています。問題は撮影時に想定された画より上下が狭くなります。いわゆる画面の窮屈な画が出てきます。このカットをどうするか。 編集はゲキ×シネでお世話になっている山中貴夫さんにお願いしました。今回はDVDの過去の編集を使用せず、新たに編集しました。ここがしっかりお客さんには伝わっていないところかもしれませんが、同じカット(画)は使用していますが、編集はまったく新しいものです。 編集をすすめながら、毎カットの上下左右を調整していく(気が遠くなる)作業を行います。それで調整がきかないカット、左右上下の画が足りないカットをCGで書く、塗る、AIで画を拡張するなどの修正が300超。普通に見ているだけではどのカットが修正されたものかはわからないはずです。 ↓↓ ■『吉原御免状』映像その2<VFX> VFXチームにはオープニングシーケンスの草むら、爆発、火矢、刀剣の質感など通常よりかなりのカット数を手がけてもらいました。今作はVFXが出過ぎないように気を配ります。当時の画は、カメラの画素数が少ない、画の圧縮率が高いなどの違いがあります。現代のクオリティで製作すると、ディテールが出すぎてなじまなくなる、という事が発生し、フィットする画を製作することに労力を割きます。 いろいろと当時解決できなかった事案を、するりと解決できるようになったあたり20年経過したテクノロジーの差をまざまざと感じました。 ~隆慶一郎さんの書籍紹介~ 📖『影武者徳川家康』(1989年) 〝アラウンド『吉原御免状』〟と私が勝手に呼んでいるのですが、隆さんの書籍で、家康、秀忠がからむ、お話の時代背景が重なる作品が、『吉原御免状』以外に3作品あります。 その3作品のうちの『影武者徳川家康』。 実は徳川家康本人は関ヶ原で暗殺されていたという仰天のストーリー(隆さんの話は仰天な話多いなぁ)。 そして『吉原御免状』で登場した世良田二郎三郎、徳川家康の影武者として生きてきた男が、家康の死後、家康本人となって治世を引き継ぐ。隆さんは関ヶ原以前以後で家康が書いた手紙の数が激減したことなど、「証拠」を提示。家康の手紙おおよそ全部に目を通していると思われるので、いったいどれだけの資料を読み込まれて考察されたのか、想像の及ばないとんでもない知識と蓄積された情報量を元に執筆されているかと思うと、ぬぬっと唸らされます。 これが隆ワールドの物語が「真実かも」と思わせる裏付けなのかもしれません。 とくかくこの本、上中下巻ありボリュームは満点ですが必読です。登場人物も個性豊かで素晴らしいし、完全なエンタメでありながら文献など学術的な側面に膝を打つ瞬間もある。ほんとうに面白すぎます! 残りの2作品に関してはまた後日。 2024年11月22日(金)からドルビーシネマ上映! ゲキ×シネ『吉原御免状』
by geki-cine
| 2024-11-14 17:15
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