2024年 11月 15日
ゲキ×シネ『吉原御免状』Dolby Cinema上映が全国8館にて11月22日からスタートいたします!(Dolby Cinema上映の詳細はこちら) そのDolbyCinema上映を記念して、19年前上演当時に発行していた公演パンフレットに掲載されていた 《 feature on YOSHIWARA GOMENJO特集 吉原御免状の世界 》の一部をゲキ×シネブログにて復刻連載! 手掛けた歴史、時代小説ジャンルのアンソロジーは百冊近いという文芸評論家の縄田一男さんによる、《 隆慶一郎と『吉原御免状』の世界 》。前回は『吉原御免状』に隆慶一郎氏が込めた、ただならぬテーマとはなにか?道々の輩になどについての内容でした。 お次は、第二章『吉原と、荒ぶる神・松永誠一郎』。主人公である松永誠一郎の神性はどこからくるのか?解き明かしていきましょう。 ※本連載にはストーリーの展開に関わる内容が含まれておりますので、ご了承いただいた上でご覧くださいますようお願い申し上げます。 ※2005年上演 劇団☆新感線『吉原御免状』 公演パンフレットより転載 (文/縄田一男) 【第二章】吉原と、荒ぶる神・松永誠一郎 その隆慶一郎が、自由民=傀儡子たちの最初の砦として選んだのが吉原だったのである。 従来、吉原をかこむお歯黒どぶは、遊女の脱走を防ぐためにつくられたとされていたが、この作品では、外敵から吉原者を守るためのもので、吉原そのものが傀儡子たちの要塞なのである。 ところが、権力に飽くなき野望を見せる徳川秀忠は、“公界” を “苦界” と呼び、暗いイメージをつくり、裏柳生をつかって吉原をつぶしにかかったのである。 そして、傀儡子たちの最後の切札が、徳川家康が庄司甚右衛門に与えた神君御免状であり、これが徳川家の屋台骨を揺るがす秘事とかかわっているためにうかつには手を出せないのである。 その抗争の渦中に巻き込まれたのが松永誠一郎だが、彼がこの作品で演じる役どころをひと言でいうならば、それは “荒らぶる神” である。但し、誤解がないようにいっておくが、それは誠一郎が後水尾天皇の皇子だからではない。 後に『花と火の帝』で誠一郎の父・後水尾天皇を自由を求めて幕府と戦う闘士として描き、天皇の存在そのものを “道々の輩” や “公界の者” と同じ地平に並べ、逆差別の座から引きずり降ろす、という離れ業をやってのけた作者のこと。もとより、戦前・戦中の皇国史観に与する気のないことは見えている。 それでは誠一郎の神性とはどこから来るのか。それを解く鍵となるのが、彼の生い立ちと、その父・後水尾天皇が幕府から受けた仕打ちである。 幕府権力の走狗となった裏柳生が後水尾天皇の皇子たちに何を行ったか。そして、何故、誠一郎は孤児として宮本武蔵に育てられねばならなかったのか。 その答えは、本来、冒さざるべき存在であった彼らが、無残に踏みにじられ、差別され、放遂されねばならなかったという悲惨極まる出生の秘密にあるのである。 しかし、その悲惨さ故に、私たちはひとつの逆説的真実を見出すことが出来ないだろうか。無残にも冒され、踏みにじられ、故なき差別を受けた者のみに真の聖性が宿るという、あの逆説的真実を、である。 こうした哀しみを味わったからこそ、誠一郎は神へと変じることができ、その怒りの剣は、時として味方である吉原者でさえ、その怖ろしさに身を慄かせるほどのものなのだ。誠一郎は虐げられし者の哀しみと怒りを知っているからこそ神なのである。 文/縄田一男 今回は『吉原御免状』の主人公である松永誠一郎について、その生い立ちに作者がなにを込めたのかが語られました。 ゲキ×シネ『吉原御免状』では、この主人公を堤真一さんが演じました。 肥後の山奥で宮本武蔵に育てられた青年剣士。山育ちで朴訥な人柄でありながらも、二天一流の天才的使い手で、壮絶な生い立ちを持つ…この難しい役柄を魅力たっぷりに演じられています。 作家、演出家、制作の全員一致で「この人しかありえない」と言わしめた堤真一さんは、ジャパンアクションクラブ出身ということもあり、原作本を読んだファンも納得の剣の腕!義仙扮する古田新太さんとのラストの一騎打ちは必見! ドルビーシネマでは刀と刀のぶつかり合う音の立体感や闇の中で裏柳生と斬り合うシーンなどの臨場感、アクションシーンの重厚感もアップ! 是非映画館の大スクリーンでご覧ください。 次回は『吉原御免状』を産んだ大型剣豪作家、隆慶一郎に迫ります。 ゲキ×シネ『吉原御免状』Dolby Cinema上映記念 公演パンフレット復刻連載 <隆慶一郎と『吉原御免状』の世界> 目次 隆慶一郎さんの描く『吉原御免状』の世界をよりご堪能されたい方は是非原作本もチェックしてみてください👀 映像・音響・シアターデザインに力を入れた「究極のシネマ体験」と言われるドルビーシネマ。 通常の500倍のコントラストと驚異的な色域により色鮮やかでリアルな映像を創り出す“ドルビービジョン”と、息をのむほどリアルなサウンドが空間を包み込む“ドルビーアトモス”で江戸・吉原の世界に没入する体験をご堪能ください。 新編集版は効果音なども刷新しており、吉原の街のざわめき、花魁の高下駄の音、刀の触れ合う音や、衣擦れの音、呼び込みの三味線の音色、語り尽くせないほどの細かいSEを入れ込んでおり、物語の持つ重厚感をさらにリッチに立ち上げています。 特別で極上のエンタメ体験を、ゲキ×シネでお楽しみください! 2024年11月22日(金)からドルビーシネマ上映! ゲキ×シネ『吉原御免状』
by geki-cine
| 2024-11-15 12:02
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